性同一性障害の相談をしに病院に行ったら、かえって悩みが深くなった

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自分が性同一性障害なのではないかと思って病院に相談に行ってみました。

と書くとあっさりなんですが、本格的に悩み始めてから病院に行くまでに15年かかりました。1年や5年の誤字ではなく15年です。fifteen yearsです。

主な理由は「地元に専門医がいないから」です。精神科にはかかっていますが、主治医には話しても「専門じゃないのでよくわからない」とコメントもしてもらえません。病院以外に、発達障害者支援センターにも通っていますが、そこでも「話を聞くくらいしかできません」と言われます。性同一性障害の相談ができる病院を探してもありませんし、GID学会に入っている先生も(おそらく)いません。少なくとも認定医はいません。

それに加えて、相談に行けなかった15年くらいのうち10年ぐらいはうつ病で身動きが取れず、地元の病院に行くのがやっとでした。

生きる気力が湧いてきて、いろんなことに挑戦できるようになってきて、活発に動き始めるようになってどんどん性の違和感が強くなっていきました。うつ病がひどかった頃はそれどころではありませんでした。

診察に行ってみて手術が怖くなった

診察を受けてみて、手術が怖くなりました。それには痛覚過敏、健康上の理由と、金銭的な理由とがあります。

痛覚過敏なので術後が怖い

まず私は痛覚過敏です。中耳炎を「痛いから」と未然に発見したことが過去2回あります。痛覚だけではなく視覚や聴覚や嗅覚も過敏で、感覚過敏があっちこちにあるのです。

そんな人間が体の一部を切り取るような手術の術後の痛みに耐えられるとは思えません……。

まあ痛み止めはもらえるでしょうけれど、痛み止めでおさまるのか不安で仕方ありません。手首を怪我して3針縫ったときも、縫ったあと痛くて痛くてたまらなかったのです。

健康上の理由で手術が怖い

診察で医師と会話して、乳房切除を含めた手術の身体的負担を改めて重く考えてしまいました。

白崎
白崎

子宮体がんだったら、ていよく子宮が取れると思ったんですよね。

医師
医師

卵巣は残っちゃうかもしれないですね。

白崎
白崎

そのほうが体にはいいですよね……。

医師
医師

そうなんですよ、(性同一性障害の治療は)体にいいわけないんですよね。

「そうだよな、体の一部を切り取るのが体にいいわけないよな……」と真顔になりました。胸だけ取るにしても、体の一部を切り取ってしまう大手術ですよね。

そう思ったら、体を傷つけて作り変えなきゃ自分らしく生きられない不条理が苦しくなりました。多くの人は何とも思わず生きているのに、なんで自分は自分らしく生きるために手術を受けたいと思うのだろう……。

金銭的な理由で手術を受けられる見通しが立てられない

費用の面も問題が多いのです。

私が行ったところはメンタルクリニックなので、手術を考えたときは札幌医科大に転院となるそうです。そして札幌医科大では乳房切除手術も保険適用にならないとのことです。その後のホルモン治療との兼ね合いらしいです。

保険適用になるのは性別適合手術のみを希望する場合で、ホルモン治療は自由診療(保健適用外)です。性別適合手術(保険適用)とホルモン治療(自由診療)を行うと「複合診療」という状態になり、保険が適用されません。

乳房切除には70万円~90万円がかかるとのこと。これは日本全国どこの病院でもそう大きくは違いません。それに安さに釣られて信頼できない病院にかかるのも怖いです。

費用の負担が厳しいです。なんせ私は収入が不安定なのに加えて、借金(奨学金)返済中の身です。その上起業も計画中です。

白崎
白崎

こつこつ貯めるしかないのか……? 貯める余裕なんてあるのか……? 貯まるまでに何年かかるんだ……?

いま無理なくプラスして貯められそうなのは月5,000円。70万貯めるのに10年以上かかります。いや無理でしょそんなに待てないでしょ……そんなに放置するなら老化による乳腺萎縮に期待したほうが早い気がするわ……。(10年後は45歳だからまだそこまででもないのかな)

手術も怖いけれど、胸が存在し続けるのもツライ

その後、地元へ帰るための長距離バスの中、乳房切除(乳腺除去、胸オペ)について調べていました。調べながら手術の失敗例をいくつか知り、手術への恐怖心が湧きました。

そして手術怖いなぁ……と怖気づいていたとき、ふと思いました。

白崎
白崎

一生胸が膨らんだままなのかな……。

白崎
白崎

ぜっっったい嫌だな。

やだやっぱり取りたい。何年こいつのせいで苦痛を感じていると思うんだ。大きくなり始めたのは25年くらい前で、その頃からずっとずっとイヤだったんだよ。

まあもっとイヤなのは下半身に穴が開いてることです(膣)。穴があるだけでもイヤなのに、分泌液まで出てくるから余計存在を感じるのです。取りたい……穴閉じたい……。

しかし胸と子宮を取って穴を閉じると150万くらいかかります。それを全額自費負担は気が遠くなります。手術費用が自分に貯められると思えないのです。というのも発達障害が理由で会社勤めがあまりにも困難なのです。会社勤めをすると下手したらうつ病が再発するので、生きるためにお金貯めようとして死ぬとかいう意味のわからないことになりかねません。

術後の健康も不安です。ただでさえ体力がないのに……。

まとめ:受診をして、余計に悩みが深くなってしまった

白崎
白崎

地元に発達障害者の居場所カフェを開きたいとか言ってないで、まず何年か会社勤めして手術費用貯めるべきなのかな……。自分が自分になってからカフェ開いたほうがいいのかな。

白崎
白崎

そんな遠回りをしながら正気を保てるのかな。
こちとら見通しが立たないと不安障害が悪化する発達障害者だぞ。

私は見通しの立たない状況が数週間程度続くと体調が悪くなり始め、月単位で見通しが立たないとかなり悪くなります。不安が強くなって金銭の使い込みが起きたりします。イヤだ……。

更に言うと、性同一性障害の診断がつくまでに10回くらい通院が必要だそうです。1〜2ヶ月に1回の通院なので、10〜20ヶ月くらいかかりますね。2年近い……。

「札幌医科大でも保険適用にはならないから、美容整形で手術してしまうのも手だと思う」と医師には言われましたが、美容整形クリニックの日帰り手術には不安しかありません……。

それに診断まで毎月病院に通えたとしても10ヶ月。次の診察が既に2ヶ月後になってしまっているので、もっとかかることは確実です。その間に保険適用条件が変わる可能性もあるかもしれないので……少し待ってみるのがいいのかな……?

白崎
白崎

悩みから解放されたくて病院に行ったら、かえって悩みが深くなった……。

久しぶりに人生がままならなすぎて生きているのがイヤになりました。一過性のものだと思いますけどね。

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書いた人:
白崎矢宵(やよい)

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。性別不合(トランスジェンダー・FtM)でもあります。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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