性の違和感の話は、なぜ人に言いづらいのだろう?

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私は自分に性の違和感があると堂々と人に言えるようになったのは35歳になってからです。それまでは、違和感があってもなかなか人に明かせずに悩んでいました。

ネット上など、顔の知らない相手には逆に言えるのですが、リアルの知り合いには性の違和感の話はなかなか言いづらいのですね。

それはなぜなんでしょうか。不思議なので、考えてみました。

「性別が2種類」なことが、当たり前すぎる?

近年、日本では同性カップルの擬似的婚姻関係が認められる動きが出てきており、同性婚が認められるのも遠くないのではないかという時代です。

ですがそれはごく最近の話であり、私の人生の大部分は「性別は2種類」という世界観でした。

世の中では未だに「男性と女性が愛し合うこと」が普通のことのように語られがちで、同性愛は異端扱いの傾向にあります。

もっとも、近年のメディア作品(映画、マンガ、小説など)では同性愛のキャラクターが極めて自然に出てくるようなのですが、それも現代の作品ならばという注釈つきです。ほんの10数年前の作品では、同性愛は禁忌で異端でしたね。

書類などでも「男」と「女」のどちらかしか選べず、どちらかを選んだら変更できないことが多いですね。どちらでもない気がしていると、それだけで「自分は普通じゃないんだ」とひしひしと感じることになってしまいます。

性別2分の社会が生み出したもの

性別2分の社会が生み出したものとして、以下のようなものがありますね。

  • 「男子トイレ」「女子トイレ」
  • 「男子校」「女子校」
  • 「男子修道院」「女子修道院」

私も高校は女子校でした。

性別で区別するというのは私にとっては謎の行動なのですが、多くの人は自分の性別に疑問を抱くことは無いらしいので、多くの人にとってはシンプルな分け方なんでしょうかね。

ファッションの「男物」「女物」という差

ファッションにもまた男性と女性の区別があります。特に男性のファッションはシビアですね! 肉体が男性でセクシャルマイノリティの方は、女性の服装をしたくてもしづらいことにかなり苦しんでいらっしゃるのではないかと思います。

女性のファッションはメンズ風もアリということになっているので、女性においては全性別の服装を身につけられると言えますが、「男性っぽく見えるか」というとまた別の話ですね。

「男性はこう」「女性はこう」とおおまかに服装が決まっていることが、セクシャルマイノリティの人たちの苦しみを強めていると私は感じます。

余談ですが男性が女物を着るときの工夫例は知人のカラーコーディネーターさんがブログに書いていました。

レディースデー

レディースデーだとか、女性限定のお店なんてのは世の中に多数ありますね。実は私も使ったことはあるのですが、女性ばっかりの場所は落ち着かないのでメリットを享受できません。

「レディースデーはあるのにメンズデーはなんでないの?」という不満が発生したこともあるんだとか。不公平ですよね。

「性転換したい」はだいたいわかってもらえない

友人に「性の違和感を感じたことがある?」と聞いてみました。そうしたところ、「異性になりたいと思ったことはあるが、違和感うんぬんは考えたことがなかった」と言っていました。

女性の中には「いっそ男になりたい」と思う人は結構いるようなのですが、「生理が苦痛」という理由が大多数を占めるように感じています。「女性は収入が少ない、もっと働きたい」という方もいますね。「女性でいることにデメリットがあるから、男性になりたい」という発想ですよね。

白崎
白崎

デメリット……は一応あるけど、性転換したい主な理由はそれじゃないな……。

男性と恋愛できないのは男性恐怖症?

白崎
白崎

男と恋愛とか考えられんわ。

男性恐怖症なの?

白崎
白崎

なぜそうなるんだ……?

私が恋愛的興味を抱きやすいのは女性なのですが、「男性と恋愛は考えられない」という話をすると「男性恐怖症なの?」と言われることがあります。私が女子校出身なのを知っている人だと「女子校通ってた子って男怖がるよね~」などと言い始めることもあります。

しかし私は男性は別に怖くありません。友人になりやすいのは圧倒的に男性です。気が合うというか、ノリが合うというか、趣味や思考の傾向が近いんですね。逆に女性の友人はできづらいです。親しい女性ができると「私、男脳って言われるんだよね~」なんて言っていることが多いです。

「男になりたい、女でいたくない」と言うと、「男にひどい目に遭わされて女でいることがイヤなんでしょ」と言われることがあります。「レイプされたんでしょ」とか。なんだそれは。

女子校出身で男性が苦手な友人は私にもいますし、過酷な性的いじめの被害に遭ったせいで心の中に肉体と異性の心が芽生えたという知人もいます(その人は肉体が男性なので、心の中には女の子がいるそうです)。なのでそういう納得しやすい理由があるほうがわかりやすいのかもしれませんが……。

白崎
白崎

そういう理由ではないんだよな……。

まとめ:少数派だと感じやすすぎて言いづらい

つらつら書いてきましたが、日常生活では「性に違和感がある」ということが少数派だと感じやすすぎるのではないかと感じました。

世の中には「男」と「女」にきっちり2分されているものが多すぎますし、それに疑問を感じている人も少ないので、どちらでもない気がすると、ものすごく異端な気がしてしまうのですね。

「少数派だ」「自分は異端だ」と感じることは、「わかってもらえない」という感覚に繋がり、言いづらさに直結します。リアルでカミングアウトしようとは無理に考えず、話せる人にだけ話すようにするのがいいのかもしれませんね。

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書いた人:
白崎矢宵(やよい)

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。性別不合(トランスジェンダー・FtM)でもあります。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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