「多様な性のありかた」を他人だけでなく自分にも許せる気がしてきた

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FtM/FtX
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にくをはぐ」というトランスジェンダー男性(FtM・肉体が女性で心が男性の人)を描いたマンガが話題になっていました。

そのマンガの感想として、登場人物の保守的なジェンダー観を指摘していたnoteに出会いました。

そして私も思ったのです。

白崎
白崎

あぁ、私のジェンダー観も保守的だな……。

自分の保守的なジェンダー観に自分が沿いたいから苦しいんだと実感しました。

自分の古めかしい性別観を自覚する

思えば私にはシスジェンダーを好ましいと思っている部分があります。シスジェンダーとは性自認(心の性)と肉体の性が一致している人のことです。

性自認と肉体の性と服装の性別が全て一致している人が、私の価値観の中では理想的で好ましい存在のようなのです。

男性の肉体を持つ人が男性の心を持ち、男性らしい服装をし、男性らしく振る舞うことが好ましい。

女性の肉体を持つ人が女性の心を持ち、女性らしい服装をし、女性らしく振る舞うことが好ましい。

私はそういった古めかしい性別観を持っているようだ、と「にくをはぐ」とその感想のおかげではっきりと自覚ができました。

他人の多様な性は認められた

ですが、多様な性を持つ人たちを否定する気はありません。むしろ肯定しているつもりです。

“ニューハーフ”や“女装子”、“男の娘”などと呼ばれる存在にはとても憧れていて親しくなりたいですし、MtF女性やFtM男性が社会生活を送っている姿もとても素敵だと思います。Xジェンダーとして生きる人たちも自分を貫けることを好ましく感じますし、同性愛に至っては何の問題もない精神性だと感じています。

性のありかたがあまりに多様なので、一部、受け入れがたいと感じるタイプの人たちもいます。ですがその人たちにも自分らしく幸せに生きてほしいと感じています。

それでも一致しているほうが好ましい

他人の性の多様性は認められても、私の中では「性自認」と「肉体の性」と「服装の性」が全て一致している人は好ましく自分もそうありたいと思う部分があります。

そして自分がそうではないという現実があります。自分の心に正直になれば、体は女性、心は男性、服装は女性になってしまいます。

私の場合、自分の事情もあって肉体の性はさておけるのですが、性自認と服装の性は一致しているほうが好ましいと思う部分があるようです。

そしてそれを割り切って楽しめているように見える女装子や男の娘たちがとても好ましく見えるのでしょう。

きっとそこが自分の苦しみの根源なのです。自分に対して「男なら男、女なら女とはっきりさせたい」と思い、でも自分に正直になると男女ごちゃ混ぜになる。それが苦しいのかもしれません。

まだ自分の性自認を認められるようになったばかり

私はまだ性自認が男性と自分で認められるようになった矢先であり、友人知人にカミングアウトできるようになって間もない時期です。

女装をして女性扱いされることが苦痛で女性らしい服装ができなくなり、「性自認は男性」を信じてもらいたいがために女性らしい服装ができず、そのことに苦しみを感じました。女装をしても男に見えることが私には必要なのではないかとも思いました。

ですが、乳房の切除手術はしたいと思えても、子宮・卵巣の摘出手術は怖いままです。

乳房は本当に不要なので取りたいですし、子宮も自分が使うことは絶対にないので摘出に抵抗はありませんが、卵巣摘出は健康に関わるので不安です。

私は長く生きてもっと人生を楽しみたいのです。

なので男性ホルモンの投与も不安でたまりません。男性ホルモンで男性化したいという思いも強いのですけれどね。

自分の声を録音してみて自分へのジェンダー観の押しつけに気づく

こういうすっぱりと割り切れない気持ちを抱えながら、ふと自分の声を録音してみることにしました。

以前、発声方法次第で男性っぽい声になれるのではという記事を書いてから、日常会話でできるだけ低い声を心がけていたら、低音が良く出るようになってきた気がします。なので現時点の声を記録しておくために録音することにしたのです。

自分の「できる限り低音の話し声」を録音して聞いてみて、

白崎
白崎

アバター(肉体)次第では少年ぐらいには聞こえるかも……。

と思いました。「女が頑張って出してる低い声」にももちろん聞こえますが、訓練次第で男性にも聞こえるかもと思えたのです。

そう思えたときに、「女の肉体で女性らしい服装をしたら、女の声でいなきゃ」と思っていた自分に気づきました

自分の出したい声で話していいんだ。

自分の話したい口調で話していいんだ。

少しずつそう思えるようになり始めました。

今後、自分の多様な性を認められそうな気がする

長い年月がかかったけれど、やっと自分の性自認を男性と認められたこと。

性自認のカミングアウトができる場ができて、心が安らぎ始めたこと。

自分が保守的なジェンダー観で自分を縛っていると気づいたこと。

他人の多様な性を認められるように、「正直な自分の姿」も認めたいと思えるようになったこと。

きっと自分は、これから何年かかけたら、自分の中の性の多様性を認められるような気がします。そうしたら、無理に手術やホルモンで体を変えなくても生きていけるかもしれません。

白崎
白崎

胸の存在は耐えがたいから切除したいけれど、それ以外の点は今のままでもいいと思えるかも……。

女性扱いが苦痛で女装ができない(でも本当は女装がしたい)点も、もしかしたらだんだん折り合いがつくのかもしれません。つくといいな。つけたいな。

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書いた人:
白崎矢宵(やよい)

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。性別不合(トランスジェンダー・FtM)でもあります。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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