この記事は旧ブログ(削除済)からのリライト記事です。
自閉症スペクトラムの学生がレポートを書けないときの、考えられる原因の例と解決策の一例を少しだけ考えました。
私はレポート作成の困難は「Wordじゃスムーズに書けない(のでLaTeXにしたら解決した)」というくらいでした。一応書けていて、大半が合格点だったので、「書けなかったがこうしたら書けるようになった」というような話は残念ながらありません。ですが発達障害の学生さんから「レポートが書けない」という悩みをときどき聞くので、少し考えてみました。
原因1)そもそも授業がわかっていない
発達障害の人の中には、視覚優位型(聴覚劣勢型とも言うらしい)で、聴覚情報が理解しづらい人がいます。そういう人の場合、板書やスライドなどの目で見てわかる資料が乏しい授業では、授業の理解が非常に難しいことがあります。
そういう場合に学生側でもできる工夫の一例は、
- (予習)教科書があってそれに沿っている場合、事前に教科書からノートを作っておく
- (授業中)授業をボイスレコーダーで録音する
- (復習)同じ授業を受けている学生同士で、授業内容について話し合う、質問し合う
などがあると思います。
原因2)レポート作成に推奨されているツールが苦手で使えない
文書を自動で整形してくれるWordなどのワープロソフトは、私の場合、文章と同時にレイアウトを考えなくてはならないのが強い負担でした。私がレポート作成を苦手としていたのは、主にWordのせいでした。
ですので、もし同じ原因の人がいるとすれば、
- テキストエディタで本文を書き、Word等で仕上げる
- LaTeXなどのマークアップツールを使ってみる
- Wiki記法のようなマークダウン記法で書けるツールを探す
というふうに、使用するソフトのタイプを変えるという手があると思います。
LaTeX系でレポートを書くノウハウは(特に理系大学などで)多数公開されていますので、調べてみてください。
マークダウン記法で書く場合はこちらの記事が参考になるかもしれません。
また手書きのレポートで手書きが困難な場合は、パソコンで下書きして書き写すという手もありますね。
他にもいろいろな工夫があると思いますので、定型発達の学生とも情報交換してみるといいかもしれません。
原因3)レポート作成のノウハウが足りない
- レポートらしい文章が書けない
- 適切な図表が作れない
- どういうふうに書いたらレポートになるかわからない
このような悩みは定型発達の学生にもあります。先輩や友人などと「レポートどういうふうにやってる?」と情報交換をしてみるのも有益だと思います。
図表の作成は私にとっても課題で、解決されないまま卒業してしまったのでなんとも言えませんが、図表についても原因2の解決策のように作りやすいソフトはあるのではないかと思います。
「そもそもどんな図表が必要かわからない」という場合は、レポートの内容をしっかり煮詰めたり、図表にどのような種類と効果があるのかを調べたりするといいのではないかと思います。
ちなみに最近気づいたのですが、私の場合は図の説明がピンとこず、文章の説明でないとわからないことが多いので、図の必要性がわかりにくいです。「図があるほうがわかる」という人の気持ちがあまりわからないのです。そういう理由で図が作れない方も私以外にもいるかもしれませんね。
原因4)集中力が維持できない
ADHD傾向が強い方は、レポートの作成開始から終了までの集中力を維持できない人もいるでしょう。
その場合は、集中の邪魔になるものを全てシャットアウトしましょう。
- レポートを書いている最中はネット接続をオフにする
- 携帯やスマホを鳴らないようにする
- 耳栓やイヤーマフをする
- 机の上に何も乗っていない“クリーンな机”でレポート作成をする
などなど。自宅では難しい場合は、レンタルスペースのような自分用に借りられる個室を使うのもいいかもしれませんね。
原因5)長文の書き方がわからない
「レポート=たくさん文章を書く=どう書いたらいいかわからない」となっている人がいるようです。そういう場合、「1文ずつ書く」と考えてみると書けるかもしれません。スモールステップですね!
「Twitterに投稿するつもりで書くと書ける」という話も聞いたことがあるので、「140文字を連投している」というつもりで書いてみてもいいかもしれません。
また「冒頭から書き始めることができない」という場合は、書ける気がするところから書きましょう。これもまた長文作成のテクニックです。書けないところは後回しにして、書けるところから1文ずつ書いていき、並べ替えて整理すると文章ができあがります。
文章はどんなに長くても1文1文の積み重ねです。書く順にも決まり事はありません。書きやすい方法で書きましょう!
まとめ
私の文章は長くてわかりにくいので、箇条書きでまとめました。
- 授業を理解しているかどうかから確認しよう
- ツールを変えたら書けるかもしれないので試してみよう
- ノウハウを学んでみよう
- 集中できる環境を作ろう
- 書けるところから少しずつ書いてみよう
ご参考になれば幸いです。
余談・WYSIWYGソフトへの苦手意識
私は「WYSIWYGソフトが苦手」というのは自閉症スペクトラムの特性だとは思っていなかったのですが、その可能性もあるのかもしれないと思い始めました。
WYSIWYGソフトというのは要するに画面に文字の大きさやレイアウト、画像なども同時に表示されるわけですから、「文字の大きさはこれでいいのか」とか、「画像の位置はここでいいのか」など、文章の内容以外のことを同時に考えなくてはなりません。文章の内容だけを考えるのが難しいのです。
WYSIWYG形式でないマークアップ・マークダウン(HTMLやWiki記法、LaTexなど)のほうが私にとってはよほどわかりやすいのですが、マークアップやマークダウンだと理解できないという人が世の中には多いようなので、少数派なんでしょうね。
だからといってマークアップやマークダウンを好む人が発達障害とは限りません。発達障害でもマークアップやマークダウンが全くわからないという友人が私にもいますので、発達障害だから得意というものでもないと思います。
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