自閉スペクトラム症者は特殊な記憶力を持っているとされ、特に好きなことの記憶力がすさまじいと評価されることが多く、「写真記憶が可能」と言われることもあります。
人の記憶には限界がありますし、記憶である以上は主観的なものなので、正確性は個人差があるでしょう。けれども「好きなこと」「興味があること」は一瞬でたくさんの情報を記憶してしまう人が多いと言われるように思います。
一方で「興味がないこと」は全然覚えられないらしい。
私も覚えられることに関してはかなりよく覚えられるのですが、覚えられないことはどう頑張っても覚えることができません。
ところで、この記憶力の話題は大抵「記憶力」だけと関係づけられるように思います。私も物覚えに関しては必ず「記憶力がいい」だとか「記憶力がいいのにどうしてそれだけは覚えられないの」というように言われていました。
「集中力」という切り口
私は内職をしています。内職作業を学んだとき、指導してくれた人は私を見てこう言いました。
あなたは集中力がものすごく高いわ。記憶力もいいけれど、それ以上に集中力がものすごいの。
そうなんですか?
そうよ。だって説明を一度で覚えてしまって、二度と聞くことが無いもの。並の集中力ではそんなに簡単に覚えられないわ。
そうなんでしょうか。
長時間働けないのも、ものすごく集中しているからだと思うわ。集中していると疲れるもの。
考えたことがなかったけど、そうかもしれない……。
私を指導してくださった方は発達障害の知識はありません。ですが、私にとっては適性をしっかりと見極めて適切な指導をしてくれる素晴らしい人でした。
記憶力に関して「集中力」に注目したのも、職人作業では集中力がかなりものを言うからかもしれません。
労働可能時間と集中力
内職の先生が言っていたことの真偽は不明ですが、集中力は労働可能時間に影響しているような気がします。
私の場合、作業に集中するのはたやすいのですが、何かの理由で集中が切れたときには大抵作業に戻ることができなくなっています。それは集中状態が解けたらどっと疲労が出た状態なのではないかと考えています。作業に復帰できないような疲労がいつの間にか蓄積しており、集中が解けるまでそれに気づかないのです。発達障害者が疲労に気づきにくいというのは、ひとつには集中力が邪魔をしているのかもしれません。
気づかないまま疲労をため込み、疲労度が自分の回復力を越えるという事態には私はしばしば陥ります。会社勤めをしていると必ずそうなると言っても過言ではありません。その現象に集中力が影響していると考えると、なんだか納得がいきます。過集中を起こしやすい人間なので……。
まとめ
長いので3行でまとめました。
- 記憶する能力には、「記憶力」だけでなく「集中力」も関わっている
- 強い集中力を発揮していると、疲労度が高くなる
- 集中力を発揮している最中は、疲労に気づきにくい
この記事がお役に立てば幸いです。