自閉スペクトラム症(発達障害)の人の「いいところ」を考えよう

自閉スペクトラム症関連
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日本人は特にだと思うのですが、「自分の長所」を見つけ出すのは難しいですね。それに加えて、発達障害や自閉スペクトラム症に関する情報を探すと「あれができない、これができない」というマイナス情報が多いですよね。

今回は「自閉スペクトラム症の人の長所探し」をしてみたいと思います。

長所と言えると思う特性

まずは長所と言えると思う特性をいろいろと並べてみました。

以下の内容が自閉症スペクトラムの人たち全員にあてはまるわけではありませんが、この中の1つか2つくらいは当てはまるかもという人はいるんじゃないかと思います。これらの他にもまだまだ思いつくという人もいると思います。

特定分野における応用力

「自閉症の人は応用力がない」という認識の人はとても多いと思います。ですが、私からすると「応用力」としか表現のしようがない特技を持つ人がいます。

例えば、泉流星さん。彼女はご自身の著書によると「一度食べた料理の味を完全に再現できる」のだそうです。これは調理に関して高い応用力を発揮している例だと私は思います。

泉流星さんのご著書はこちら!

料理ができる自閉症の人は他にも地元で数人知っていますが、余りものからさっと料理を作ってしまう人も複数います。理詰めでやっている人もいますが、そうでない人もいます。「なんとなく」で料理をしてしまえるというのは、応用力がとてもよく発揮されていると私は思います。料理をアレンジする人もいますが、アレンジも応用ですよね。

たまたま料理の話が多いですが、料理以外でも「応用力がある」と評価されることはあります。私は以前の職場(事務職)で、上司に「教えたことをすぐに覚えてくれるし、しっかり応用も利かせてくれるからすごく助かる」と評価していただきました。

先述の泉流星さんも、電子メールでのコミュニケーションにはいろいろな工夫をこらしているようで、やはり応用力があると解釈していいと思います。万事に対して応用力が働くわけではないと思いますが、自閉症スペクトラムの人たちに応用力が全くないわけではないようです。

仕事が正確

自閉症の人の中には正確な仕事をする能力がある人がいます。北海道札幌市で発行している「虎の巻」シリーズでは、「職場で使える虎の巻」の「その二」で、パン生地を量りを使わずにぴったり50gに切り分ける人が紹介されています。

私自身も、以前就労していたときに「仕事内容が早く正確である」と評価されていました(単純作業が主でしたが)。以前ピアノを習っていたときには、ピアノの先生に「機械のように正確に弾く」と評価されたこともあります。

他の人の例では、講演会等で非常に正確な議事録を取る人がいます(レコーダー不使用)。

向き不向きはもちろんありますが、得意分野では正確な作業ができるという人は少なくないと思います。(ただ、その「得意分野」を見出すまでは苦労があるかもしれません)

文章能力が高い

もちろん人によりますが、人によっては高い文章能力があり、面白い読み物を次々と書くということがあります。

身近な自閉症スペクトラムの人が何人か面白い読み物を発行しているのですが、紙媒体のものがほとんどで、ここではご紹介できないのが残念な限りです。

絵が上手い

これももちろん人によりますが、自閉症スペクトラムの人の中には非常に絵が上手い人がいます。

「絵」といっても様々で、イラストの人、写実画の人、抽象画の人、デザイン画の人など、いろいろいます。

画材も様々で、油彩を好む人もいればパステルやクレヨンだという人もいますし、パソコンで着彩する(CG)という人もいます。

特別なトレーニングを受けたわけではなく、好きで描いていただけという人が多いようです。受賞歴がある人や、絵を使った作品が商品化されている人もいます。

絵ではありませんが、彫刻作品を作る知人もいました。その人の作品に商品価値を見出す人がいて「作ってほしい」と頼まれ販売したことがあったそうです。

余談ですが、このような芸術関係の才能を持つ人の中には、「何を作っても『障害者アート』になってしまう」と不満げな人もいました。「障害者の作品」だと、あまり上手いとは言えない作品でも褒めたたえられるケースがありますが、そのような例を見かけるためか、自分の作品が「障害者アート」とされると正当に評価されていないと感じる人もいるようです。

公平である

自閉症スペクトラムの人には、「誰に対する態度も、あまり変わらない」という人は結構多いと思います。

そういう点を、友人関係の人は「友情が感じられない」と言ったり、恋人関係の人は「愛情が感じられない」と言ったり、上下関係にある人は「無礼だ」とか「親しげすぎる」「そっけなさすぎる」という風に言ったりしますが、裏を返せばそれは「誰に対しても平等に接している」ということになります。

この点を「素晴らしい能力」と評価する人がいて、職種によっては非常に良い仕事をするだろうと言っていました。

その人からはあまり具体的な話を聞けませんでしたが、例えば裁判官なんかだと、客観性や公平さは重要でしょうから、人情に左右されないのは強みになると思います。他にも徹底的に事務的であらねばならない仕事(何かの調査や監視などをする仕事、役所の仕事など)では、長所となる部分でしょう。

人間関係や世間体に左右されない

上の「公平である」の内容と一部通じるのですが、「人間関係を考慮しない」つまり「空気を読めない、配慮ができない、暗黙の了解がわからない、世間体を気にすることができない」というような短所と言われがちな部分は、ものの見方や考え方によっては長所となりえます。

例えば、上司の行動が不適切だけど部下だから(あるいは同僚だから)指摘ができないというような状況があった場合に、自閉症スペクトラムの社員がずばっと「不適切だ」と指摘してしまったりするわけです。

こういうとき、上司は怒るかもしれませんし、周りの社員も無関係なふりをするかもしれませんが、内心では「よく言ってくれた!」と思われていることがあったりするのです。

私が過去に何かしらの不満を表明したり議論を巻き起こしたときにも、「問題発言だ」と反発する人ももちろんいましたが、「全くの同意見だ」「正論だ」と賛同してくれる人もいたということが複数回ありました。

また「意見に賛同するわけではないけれど、思ったことをストレートに言える様が羨ましい(かっこいい、好ましい)」という評価を受けたことも何度かあり、「空気を読んでいない、配慮ができていない発言」が一概に「悪いもの」とは決めつけられないようだということを学びました。

ただ、これは「言いたい放題していい」ということではありません。もし言いたい放題したいのであれば、そうすることによってどんなトラブルが起こってもいいしどんな攻撃も受け止めるという覚悟が必要だと思います。

否定・不満・批評などのネガティブ意見を封印して、賛同・肯定などのポジティブ意見だけを言っていればいいかといえば、そういうわけでもないのが世の中の難しいところです。ある場所においては適切な発言でも、それを別の場所に持ち出すと問題発言になってしまうという例もあり、定型発達者たちの間でもしばしばトラブルになっています(最も有名な事例は森元総理の「神の国」発言だと思います。私はあの発言は「場の空気を重んじ、参加者一同に配慮した発言であった」と思うのですが)。

興味・関心のある物事への集中力と記憶力、理解力、情報収集力など

自閉症スペクトラムの人は「興味・関心が狭い」「記憶力が良い」とよく言われますね。皆が皆、記憶力に優れているかというと、そういうわけでもないのですが、興味・関心が高い分野に関しては高い集中力と記憶力を発揮する傾向にあるようです。

定型発達者でも同様のようで、「好きこそものの上手なれ」という諺もありますが、自閉症スペクトラムの人の場合は更に際立っていると評されることが多いですね。

自閉症スペクトラムの人は、何か執着することを発見すると、それに非常に熱心に取り組んでものすごい功績を残すことがあるようです。その内容は歴史に名を残すほどのことから、一部の人たちの間で語り種になる程度のことまで様々ですが、ある物事について徹底的に調べ抜いて深い知識を身につけたりなどする、このような部分は長所でしょう。

ちょっと難点があるとすれば、興味・関心や集中力がコントロールしにくいことでしょうか。人によっては興味の対象が「人」だったりもして、迷惑行為に発展してしまう場合があり、注意が必要です。

発想の転換をして長所を見つけてみよう

以上の内容が全然当てはまらないという人も、発想の転換をしてみると自分の長所が見つかるかもしれません。

例えば「引っ込み思案で思っていることを上手く言えない」という人は、裏返して考えると、「波風を立てない、和を重んじる穏やかな人」という評価をされているかもしれませんよ。それはそれで好まれる性質ですから、引け目に思う必要はないと思います。

欠点が目についてしまって長所なんてとても探せないという人は、その「気になる欠点」を気にならなくなるようにカバーするところから始めましょう。

欠点カバー案1 「物覚えが悪くて、仕事の能率が悪く、正確さもない」

例として「物覚えが悪くて、仕事の能率が悪く、正確さもない」という欠点を感じるケースを考えてみましょう。

まず、そういう欠点がある人は、指示を理解したという感覚があるかどうかを考えてみてください。

もし「指示がよくわからない」と思いながら作業しているとすれば、それでは作業内容を覚えることができなくて当然ですし、能率が悪いのも不正確なのも当たり前なので、「理解できる指示をもらえるような工夫」をしてみることが必要です。紙に書いて渡してもらう、理解できる言葉で説明してもらうなどですね。

「指示内容はちゃんとわかったと思ったのに、仕事内容を悪く評価される」という場合は、指示を誤解をして作業をしてしまっている可能性があります。自分の理解の仕方で正しいかどうか、指示を受けたときに確認する時間を取ってみるといいかもしれません。

「明確な指示をもらってちゃんと理解しているのに、何故か仕事が上手くいかない」という場合、その仕事が極端に苦手な分野である可能性があります。違う仕事内容に変えてもらえないかどうか、相談をしてみましょう。

欠点カバー案2 「料理が下手」

「料理が下手」という欠点を感じる場合も、「上手にできる簡単な(やりやすい)方法が見つかっていないだけ」と考えて、ノウハウを探してみると、自分に合ったものが見つかって上手く料理ができるようになるかもしれません。

作ろうとしている料理の味が好みでない可能性はありませんか? 一般的な味と、好きな味が全く違う可能性も充分あります。

私の例だと、日本で一般的に食卓に上がるような味はあんまり好きでなく(嫌いでもないのですが)、ハーブやスパイスをたっぷり使ったヨーロッパ風やエスニック風の味が好みです。日本の料理はあまり好きでないので、料理にも関心が持てないということが最近わかりました。エスニック料理は自分でも作りたいくらい美味しいと感じます。

「上手くなくても食べられればいいのだ」と開き直ってしまうのもいいですね。美味しくて見栄えもよい料理はレストランで食べられますから、

  • 多少美味しくなくても栄養豊富な料理を目指す
  • 味も見た目も栄養も置いておいて「自分で料理してご飯を食べたことを評価する」

という風に考え方を変えてしまうのもよいでしょう。

友人や家族と一緒に見つけてみよう

「自分の良い点」はやはり自力では見つけにくいものです。「考え方を変えてみよう」と言われても、そう簡単に考え方を変えることなんてできないですよね。

なので、友人や家族などとお互いの長所を指摘し合う時間を作ってみるのがおすすめです。他人のことを「長所を探そう!」と意識して見つめると、新しい発見があって楽しいですよ。他人の長所探しを通して自分の長所に気付くこともあります。

「他人と互いに褒めあう時間」は意識しないと作れない時間なので、作ってみましょう。と言ってもそう簡単には作れないと思うので、「友人や家族と一緒に長所を見つけ合うワークショップ」を開催したらいいのでしょうか?

褒めあう相手が見つからない場合におすすめなのは、自分のことを自分で褒めてみることです。「褒めるに値するポイント」を自然に探してしまうと思います。その「褒めてもいいと思ったところ」が長所です!

まとめ

自閉スペクトラム症(発達障害)があっても、長所はあるはずです! ネガティブな情報だけでなく、ポジティブな情報にも目を向けていきましょう!

自力で長所を見つけにくい方は、友人や家族とお互いに見つけ合ってみましょう!

書いた人:
白崎やよい

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。30代です。肉体の性別に違和感がありFtXなのではと思っています。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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以前書いていたブログ「他者と私とアスペルガー症候群」の記事を抜粋し読みやすく書き改めたもので、6年近い自己分析の集大成です。
母から見た生育歴、母と私のすれ違いを解消した記録もあります。自閉スペクトラム症の子と定型発達の親のすれ違いが両方の視点から読める本です。

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