性自認と一人称の切っても切れない関係

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日本語の一人称には性差があります。「ぼく」「オレ」などは男性、「あたし」などは女性という感じですね。それがセクシャルマイノリティの人間にとっては悩みの種のひとつです。

最近「ぼく」がしっくりくる

最近、ネット上のごく一部のプライベートな間柄では一人称を「ぼく」に変えました。一昨年あたりから「ぼく」がしっくりくるなと感じていましたが、性の違和感をカミングアウトできるようになってから、一人称も変えていっていいんじゃないかと思い始めたのです。

漢字の「僕」でもカタカナの「ボク」でもなく、ひらがなの「ぼく」が、私が自分のことを話すときには一番しっくりくる一人称なのです。

匿名のチャットで与える性別の印象

ネット上、特にゲーム内のチャット機能では相手が男性か女性かは不明な状態であることが多いものです。そのため、一人称や口調、話題などを手がかりに相手の性別をなんとなく想像する傾向にあると思います。

私は口調も話題も変えていないのに、一人称を「ぼく」と言った瞬間「男性だったの!?」と言われたことがあります。もし「私」と話していたら女性と思われていたのでしょうか。一人称と性別の印象はかなり密接だと感じます。

以前、学生のころや引きこもっていたころにはオンラインゲームをよくやっていたのですが、私の性別はどうも判然としないようです。一人称は長いこと「私」だったのですが、素の口調が男言葉傾向なので、男性とも女性ともつかないようです。話題もわざとではないのですが、性別不詳なものが多いらしく、私の性別は人によって男性と思い込んでいたり女性と思い込んでいたりします。

ネット上ではあまりリアルな情報を明かさないほうがよく、特に性別は下手に明かすとトラブルの原因になることがあるので、不明瞭なのは好都合だと感じました。なので自分の性別を明言するような言動を避けています。最近までプレイしていたゲームでは男性と思い込まれていました。

それが満足でもあり、やりきれなさでもあります。現実では女性にしか見えないのに女性扱いは受けたくないので、ネットで肉体から離れれば男性になれるのだと思うと、望む性で生きることの難しさを感じずにはいられません。

「私」も使い続けることになりそう

このサイトでは「私」と言っていますし、口で言うのも「私」が慣れているので、現実世界では「私」を使いがちになってしまうと思います。

「私」は女性の一人称という側面もありますが、「丁寧語の一人称」という側面もあり、男性でも丁寧語では自分のことを「私」と表現することが多いので、今のままでもいいかと思っています。

いつか現実の世界でも「ぼく」と言えたら、また少し自然体の自分に近づけるのではないかと思います。

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書いた人:
白崎矢宵(やよい)

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。性別不合(トランスジェンダー・FtM)でもあります。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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