インタビューを掲載していただいた書籍「生きづらさの生き方ガイド」、やっと読み終わりました。とても良い本でした!
これはまさしく「ガイドブック」!
不登校・ひきこもり・発達障害・LGBTQ+という幅広いテーマを元に「生きづらさ」の「生き方」をガイドしている本です。特にひきこもりに関する情報が充実していると感じました。
いいところ
- 当事者・家族の正直な声が多数収録されている
- 困りごと別に相談先が網羅されている
- どんな病院を選んだらいいか(メンタル系)詳しいガイドがある(p170~174)
- 「親なき後問題」の不安を解消するための詳しいチェックリストがある(p218~225)
特に気に入ったのは後半2つです。
当事者・家族のインタビューが良い!
この手の問題で当事者不在の物語は避けるべきだと思っているのですが、本書には当事者たちの声が多数収録されています。当事者だけで終わらず家族の声も収録されているのがいいですね!
個人的に、特に強い共感があった当事者の声は
- 支援臭のある相手に支援されると劣等感を覚える
- 「消えたい」「ずっと死を考えて生きてきた」
- 就労だけが支援じゃない
- 親離れ、子離れはしたほうがいい。「人生は楽しいものだ」と親が体現して見せてほしい
でした。「支援職の人」に支援される存在と思うと劣等感が湧くのはあるあるだなーと思いました。「あなたを支援します」みたいな人より、一緒に頑張ろう、楽しもうという雰囲気の人がいいですよね。贅沢ですけど。
それに不登校やひきこもりのお子さんを抱える親御さんは子離れできていない方が多いですよね。「子どものために何かしてあげなきゃ」に囚われ続けている人が多いように思います。「子どもが苦しんでるのに自分だけ幸せになっちゃいけない」と思っている人も少なくないように感じます。
でも逆なんですよね。「自分が家族の足を引っ張ってる」と思うとますます自己嫌悪に陥りますから、親には人生を楽しんでほしいですよね。それで自分が親の重荷になっていないと思えればいくらか気楽になれるんです。(個人の感想です)
また家族の声では、お子さんが不登校だった父親のインタビューで
- 同僚に娘のことをオープンにしたら、とても楽になった。やってみないとわからないと思う
という言葉が印象的でした。「不登校やひきこもりは隠すもの」という風潮があると思いますが、オープンにしたことで親御さん本人も気楽になれたというのは素晴らしい体験談だと思います。
病院の選び方ガイドが良い!(p170~174)
メンタル系の病院には複数の種類があり、どんな病院を選んだらいいか悩みますよね。
本書には種類の解説と、選ぶ際に意識したほうがよいことをまとめてあります。
医療にかかりたくてもどんな病院がいいかわからず困っている方に大変おすすめです。
「親なき後問題」のページが良い!(p218~225)
ひきこもりの高齢化は「8050問題」とも呼ばれていますが、家族や当事者たちの不安は相当なものです。私の地元の家族会でも頻繁に話題に上がっています。
しかし本書ではどんなことをチェックしておけばいいか、どんな対策をとればいいかを詳しくガイドしてあり、漠然とした不安に包まれずに済むようになっています。
不安を追い払うには具体的な行動を取るのが一番いいです。そのためにも本書はとても有効です。
ひきこもり当事者や家族の高齢化問題に不安を感じる方は、p218~225だけでも読んでください!
悪いところ
総じていい本だと思うのですが、一か所、これはちょっとなぁと思う問題点がありました。
それはURLが一切記載されず、QRコードだけである点。
QRコードが読み取れない人や、パソコンからURLを入力して開きたい人への配慮が全くありません。
本の随所にQRコードがついていますので、スマホで次々アドレスを開きたい方には手間が省けて便利だと思います。
が、パソコンから開きたいときには「スマホで開いてアドレスをパソコンに送る」という手間がかかるので、私はどのサイトも開きませんでした……。
まとめ
不登校・ひきこもり・発達障害・LGBTQ+というテーマで生きづらさを感じて困っている当事者さんやご家族の方には大変おすすめです。「ガイド」の名に恥じないガイドブックだと感じました。
インタビューには関心がない方も、その他のページには有意義な情報があると思います。
病院選びに困っている方、8050問題の対策が知りたい方はぜひ読んでみてください!