私が仕事をするために必要な「具体性」

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自閉スペクトラム症
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私は物事が具体的でないと意義が認識できません。その話をすると、話し相手の人はその人なりの具体化をしてくれることが多いです。にも関わらず私は相変わらず具体性がわからないままということがたびたびあります。その理由が長年わからなかったのですが、単純作業をしていたらふと理由が閃いたので、書いてみたいと思います。

私にピンとこない具体性

私にはピンとこない具体性があります。なぜピンとこないのかはよくわかりませんが、相手にしてみれば「具体的にしているのに伝わらない」となる厄介な原因です。それはたとえばどんな内容かというと、

  • それがもたらす社会的意義
  • それを見た人々の感想になりうること

このようなものです。

社会的意義の話はだいたいピンとこない

社会的意義の話は大規模すぎるのか、多くの場合、私にはピンときません。

たとえば、「フロンガスが温暖化の原因なのでフロンの出ない電化製品を作りました」と言われても私はピンときません。自分の生活にもたらす影響がよくわからないのです。なので「そうかもしれないけど私は何の得をするんだろう」と思ってしまいます。

余談ですが、フロンの出ない電化製品を買って個人が得するケースが私はわかりません。社会的には有意義なんだと思うんですが。

人々の感想になりえることはだいたいピンとこない

もう一つの例は「この事業が成功するとターゲット層の人がハッピーになります」というような話です。本当にそうなのかな、そうならない可能性はないのかなと考えてしまいます。可能性を考えすぎるのかもしれません。

もっと具体的な例として、実際に以下のように言われたことがあります。

今依頼している原稿のテーマについて白崎さんが書いた文章を、悩んでいる人が読んだら、悩みが解決して『ありがとう! 助かった!』と言われると思います。そうなったら嬉しくありませんか?

「別に嬉しくないなぁ……」が感想だった上、ピンともこなかったので私も自分自身で困りました。

おそらく、この例では

  • ちょうどそのことで悩んでいる人がいるのかピンとこない
  • 本当に解決するかピンとこない
  • 解決したとして礼を言われるかピンとこない
  • 礼を言われたとして本心かどうかピンとこない

というような思考が無意識に積み重なった結果、「そう言われても全然ピンとこない」という感想になるのだと思います。

私にもピンとくる具体性

このように具体性がわからんと言いつつも、「具体的でやりやすい」と感じる仕事依頼は多数あります。それらをどうして具体的だと感じるのかを考えました。まず、私が具体的だと感じる表現の例は以下の通りです。

  • 報酬はn円
  • 作業時間はm時間
  • p個作る
  • q個売れた
  • r字書く
  • t月d日h時締切(または使用する日付と時間帯など)
  • 完成図

数字が明瞭であることが条件のようですね。完成図が明確なことも必要です。一方、先に書いたように社会的意義やターゲットにとっての意義はピンとこないことが多いので、必須条件ではありません。

社会的意義やターゲットにとっての意義が提示されていると、仕事内容の総合的なわかりやすさが増しますので、不要なわけではありません。

文章依頼の場合

文章の依頼の場合で「具体的でやりやすい」と感じるのは、以下の点が明瞭な場合です。

  • テーマ
  • 必要なキーワード
  • ターゲット(読み手として想定する人物)
  • 文字数
  • 締切(時刻まであるのが望ましい)
  • その他、OKになる条件(コピペ率の指標や、チェックツールを自力で使用して結果を見るなど)

以上が明瞭な場合はハイスピードで書けるのですが、不明瞭だと以下のような問題が起きます。

  • 依頼の内容を把握するまでに時間がかかる
  • 書くべき文章を思いつくまでに時間がかかる
  • 意義を見出せずに執筆する
  • 文章の品質が落ちる

何のために書くのかわからない文章は品質の上げようがありません。文字数がわからないと、どのくらいの労力を割けばいいのかも、完成としていい目安の文章量もわかりません。締切がわからないとどのくらいのペースで書けばいいのかわかりません。締切当日になってから見直せるのか、見直せないのかも重要です(時間を置いて推敲するため)。

またブログを開設しておいてこう言うのは説得力が無いと思いますが、私にとって文章作成は苦手な作業です。文章は品質基準や評価基準があいまいなため、価値がわかりづらいからです。なので依頼の段階でできるだけ品質基準・評価基準・価値(報酬)が明瞭になっている必要があります。「0円でお願いします」や「書いてもらったけど誰にも読んでもらえませんでした」でも明瞭度という観点からはOKです(やり甲斐という点ではイヤですが)。

文章作成が苦手なのにブログが書ける理由

ブログが書けるのは、私にとってわかりやすい以下のような条件があるからです。

  • 内容の選定基準:自分がこのブログに書きたいと思ったらOK
  • 品質基準:自分がOKと思ったらOK
  • アクセス数がわかる(PVやユニークユーザー数)
  • 成果(収入)の状況を確認しやすい

重要なのは太字にしている下2つです。明瞭な数字による客観的な判断が可能な点が大きいです。アクセス数、成果はあるなしに関わらず「確認できる」ということが重要です。

それに対して依頼で書く場合、その文章が何人くらいに読まれたのか、どのような効果があったのかは、大抵知ることができません。なので私は具体性を感じづらいのです。

その他の仕事の場合

その他の仕事の場合、たとえば講演などの場合でも「ターゲット」や「テーマ」「キーワード」、締切、報酬額などがはっきりしていると取り組みやすいです。

書類作成などの場合、完成図がはっきりとしていると、私の能力の範囲でできるだけ完成図に近づけた仕上がりになります。

まとめ

物事がピンと来なくて困っている自閉スペクトラム症の方々の中には、私にもピンとくる具体性なら自分もピンとくるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。発達障害や自閉スペクトラム症の方に仕事を依頼しようとしてピンときてもらえない方は、私にもピンとくるポイントを押さえて説明を組み立ててみてください。

なお、私にピンときても他の人はピンとこないという可能性もあります。そういうときはその人のピンとくる説明はどのような内容なのかを探ってみるのがおすすめです。物事の認識の仕方は人それぞれ違うので、わかりやすいものも人によって変わってきます。対象となる人の認識の仕方を把握して説明を作りましょう。

自閉スペクトラム症
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書いた人:
白崎矢宵(やよい)

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。性別不合(トランスジェンダー・FtM)でもあります。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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母から見た生育歴、母と私のすれ違いを解消した記録もあります。自閉スペクトラム症の子と定型発達の親のすれ違いが両方の視点から読める本です。

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