性暴力を防ぐには明確な性教育が必要。男性も被害者になりうる!

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雑記
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この記事は旧ブログ(閉鎖済)に書いた記事のリライトです。

数年前、地元で自閉症者への性教育をテーマにした講演が行なわれました。そのことと以前yomiDr.に掲載されていた記事「レイプに予防法はない」(掲載終了)という記事を読んで思ったことを考え合わせて、知的障害者による性暴力(加害・被害)の問題に行き着きました。

知的障害を伴う発達障害者の場合は性教育が随分と難しいものであるようです。性教育の講演資料を支援センターの人にちらりと見せてもらったところ、生殖器の説明や衛生の保ち方などの一般的な内容はもちろんのこと、「マスターベーションはどのくらいしていいのか」などという教育までありました。

支援センター職員
支援センター職員

「こんなことまで教えなきゃならないの?」とびっくりしますよね。

白崎
白崎

衝撃ですねえ。

「水着で隠れるところはプライベートなところだから、他人が触りたがっても許してはいけない」という教え方もあるそうです。

性教育といえば、簡単なことならば学校でも教えてくれますが、知的障害を伴った人の場合はどうでしょうか。特別支援教育で性のことを教えてくれるのでしょうか。その人によって、教えられる場合と教えるのが困難な場合があるのではとも思います。

家庭で教えるとしても、素人の力では限界もあるでしょう。ならば誰が教えるのか、どんな内容をどうやって教えるのか、という問題が生じてきます。その辺りが講演で話されたのだと思います。

加害者にも被害者にもなりうる

私は発達障害者と性教育の問題について考えてみて、「(特に知的障害を伴う)発達障害者は、性暴力の加害者にも被害者にもなりうる」のではないか、という考えに到達しました。

  • 知的障害者の女性が性暴力の被害に遭う
  • 知的障害者の男性が性暴力の加害者となる

などは考えやすい例かと思いますが、私が言いたいのはそんな単純な話ではありません。

まず最初に、「性暴力の被害者=女性」という固定観念を捨てなければなりません。

男性でも性暴力の被害を受ける

私の友人E(定型発達者・男性)は性暴力の被害者です。男性及び女性の同級生から、学生時代に性的虐待を受けていました。

学校を卒業したあとも、別の女性から性暴力の被害を受けています。

その女性は「女性」という立場を悪用し、Eに対して性暴力の加害者でありながら、あたかも自分が被害者であるかのように吹聴し、周りも「性暴力の被害者=女性」という固定観念のためにそれを信じてしまい、結果としてEは「女性からの性暴力被害」と「性暴力の冤罪被害」という二重の被害を受けてしまいました。

このようなケースは決して珍しいものではないと思います。「男のくせに情けない」「どうせ信じてもらえない」などのような気持ちが先立って言い出せない男性がほとんどのために、男性の性暴力被害が明るみに出ないのではないかと思います。

この記事の元となった記事は友人Eの許可を得て書きました。

またEのエピソードに関しては、リライトに当たって内容を変更していません。

性暴力について改めて考える

以上のことを踏まえてもう一度性暴力について考えます。

例え同性同士であっても、性的接触を受け、それが不快だと感じた場合には性暴力が成立すると私は考えます。抵抗のあるなし、肉体的な反応がどうかに関わらず、不快だと感じた側がいればそれは性暴力だと思います。

特に男性は意思と反する肉体的反応が起こりやすいようで、誤解されやすいようです。

「レイプに予防法はない」によれば、男性が女性に性行為を強要することが強姦の定義のようですが、女性が男性に性行為を強要することも同様に強姦であると私は考えます。

性暴力に抵抗できなくなってしまう現象がある

一般的に男性のほうが女性より物理的な力が強いというイメージがあるため、「男性は仮に被害に遭っても逃げられる」というイメージに結びついてしまっているようですが、私はこれを非常に残念な偏見と思わざるを得ません。男性だって抵抗すらできなくなってしまうことがあるのです。

私の友人Eは女性に強姦された際、以前に受けていた性的虐待のフラッシュバックに襲われ、恐怖で金縛りのようになって、されるがままになってしまったと言います。

レイプ被害者には「凍りつき症候群」「擬死反応」等と呼ばれる状態があります。

被害を受けそうになると抵抗できない心身状態に陥ってしまうことが知られています。Eもそのような状態だったのでしょう。「抵抗しないから同意している」と犯人が言う原因ともなっている反応です。

下のリンクは公益社団法人 被害者サポートセンターおかやま(VSCOヴィスコ)の『「性犯罪被害者の心理」講演全文 その3』です。

知的障害者・発達障害者が関わる性暴力の可能性

Eの場合は定型発達者同士のケースですが、知的障害者・発達障害者が関わるケースでも同様の問題は起こり得ます。加害と被害、どちらになるかは分かりませんが、知的障害者・発達障害者だって性暴力に巻き込まれる可能性は大いにあるのです。

ちょっとしたボディタッチでもセクハラとして訴えられる現代では、性暴力の加害や被害の問題はとても身近と言えるでしょう。

性的接触が「どこまでが暴力でなく、どこからが暴力なのか」は、知的障害のない人たちの間でもしばしば議論になります。知的障害を伴う方なら余計に理解しづらいのではないでしょうか。

そのため、自分がしている行為、されている行為が性暴力に該当するかどうかわからないという問題が起きえます。加害していること、被害に遭っていることがわからない可能性があるのです。

知的障害者・発達障害者における性暴力の加害・被害の問題を未然に防ぐには、やはりしっかりとした性教育が必要不可欠でしょう。国の施策としてしっかりと、分かりやすく、きめ細やかな性教育をすることが必要であり重要であると思います。

まとめ

  • 男性も性暴力の被害者になりうる
  • 性暴力の被害を受けたとき、全く抵抗できなくなることがある
  • どこから性暴力なのか、明確な線引きを知るために性教育が必要

「性暴力の被害者=女性」という固定観念にとらわれない情報発信をしたいと思い、この記事を書きました。

性暴力被害者を支援する団体は増えてきていますが、対象者を女性と限定するものが多いです。私の地元でもそうです。女性のほうが被害に遭いやすいのかもしれませんが、男性の被害者もゼロではないことを知ってほしいです。

性教育おすすめ情報

本文中にも引用しましたが、この性教育サイトがわかりやすくておすすめです。

先日読んだこの記事も、「性教育」の奥深さを教えてくれます。「日本には『プライベート』を学ぶ機会が少ない」とあり、確かにそうだなあと思いました。

上記記事で紹介されていた本も気になったので調べましたが、面白そうな本ですね。

また地元の発達障害者支援センターには「おとなになるあなたたちへ 自閉症スペクトラムの性の勉強・パワーポイントデーター収録」が置いてあります。販売サイトはなんだか心配になりますが、服巻智子先生監修の本です。

雑記
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書いた人:
白崎矢宵(やよい)

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。性別不合(トランスジェンダー・FtM)でもあります。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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私は私にだけなれる
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