この記事は旧ブログ(削除済)からのリライト記事です。
発達障害(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の人間は「言葉を文字通りに解釈する」という傾向があります。それに加えて私は、「自分の発言を文字通りに解釈してもらえる」と思い込む性質があります。
日常生活において、前者と後者でどちらが私にとって負担が大きいかというと、後者です。「文字通りに解釈してもらえるという前提を無意識に頭の中に置いて話していたら、全く意図していない裏を読まれて不愉快な思いをする」ということが非常に多いのです。それでトラブルが発生することもたびたびあります。
一方、相手の言葉を字義通りに解釈してしまうことについては、少なくとも私自身はあまり不快に思わないことが多いですし、トラブルになることも少ないです。
相手の言葉を文字通り解釈するトラブル事例
なんであんなことしたんだ!
(怒りの意思表示。謝罪を求めている)
これこれこういう理由で!
(「なんで」=理由を問われているという解釈)
言い訳するんじゃない!
「なんで~」と怒られて、理由を返答してますます怒られた、という経験がある人はとても多いようです。文字通りの意味で受け取ってしまう当事者は多いですね。
文字通りに解釈してもらえると思い込んだトラブル事例
事例1 プリペイドカード
プリペイドカードが足りなくなるんじゃない?
その話は給料日まで待って。
プリペイドカードが足りなくなるかどうかという事実の確認なのに、どうして給料日までわからないの?
「プリペイドカードが足りなくなるから買ってくれ」って言われたと思ったわ。
話が通じない……
このとき、私はとても不愉快な気持ちになりました。足りるか足りないかをはっきりさせたいだけだったのに、「買って」という話に発展しているとは夢にも思いませんでした。
事例2 「おなかすいた」
あー、おなかすいた。
ごはんまでどうやって空腹を耐えようかな。
ごはん早くする?
えっ!?
パニックになるからやめてよ!!
「おなかすいた」って言うから、ごはん早く食べたいって言われてると思ったよ。
ごはんの時間は変えないで!!
空腹時に、無意識に「おなかすいたー」と言ってしまうことは誰にでもあると思うのですが、そういうときに私が思っているのは「ごはんまでの間、空腹感を耐えるのが大変だなぁ」です。ごはんの時間を不動だと思っているので、その間に耐え忍ぶ方法を考えているのです。
ところが、母のような定型発達者は、「おなかすいた」と言われたら「ごはんを早く出さなきゃ」と無意識に思うんだそうです。
それは私が全く想定しない出来事なので、パニックの元になります。
文字通りに受け取ることがコミュニケーションの障害?
「発達障害・自閉スペクトラム症の人は他人の言葉を文字通りに受け取り、それがコミュニケーションの障害になっている」と思っている方は多いかもしれません。
少なくとも私の場合は、他人の言葉を文字通り受け取ってしまうことについては、ある程度の訓練ができるので(「こういう発言は社交辞令の場合が多い」など、事例を知る)、そこまで社会生活の上で支障になるとは思っていません。
それよりも「自分の言葉を文字通りに受け取ってもらえる」といつの間にか思い込んでいることのほうが、非常に大きな障害です。意図が伝わらないのでストレスが強いですし、無い裏を読まれるので、言葉を尽くしてもあまり意味がありません。それどころか状況が悪化することさえあります。本当にこの特性にはうんざりします。
定型発達者は裏を読むのが当たり前?
最も身近な定型発達者である母が言うことには、「定型発達者は自然と裏を読んでしまう」のだそうです。「裏の意味があるのが当たり前で、ないほうがおかしい」のだそうです。
一方、私にとっては「裏の意味はないのが当たり前で、あるのはおかしい」です。コミュニケーションの前提となっていることが真逆なんですね。
それに「予想外のことが起きるのは負担」という特性が合わさります。なので「予想外のこと=無い裏をあると思われている」が起きるとものすごく負担なのです。
解決策は見つかっていない
この現象の解決策は見つかっていないため、どうやったら負担が少なく過ごせるのかはわかりません。
ですがこういう特性があると知っておくことで、「またか」と思う程度で済ませることはできるので、知らないよりはマシなのではないかと思いながら日々を過ごしています。