この記事は旧ブログ(削除済)からのリライト記事です。
発達障害・自閉スペクトラム症の方の中には、笑顔が作れなくて悩んでいる方もいるのではないでしょうか。私もそのひとりで、気を抜くと笑顔がなくなってしまいます。頑張らないと人前で笑顔でいることができません。
今回は「笑顔になりにくい理由」と「笑顔を作る方法(のひとつ)」をご紹介します。
日本人が「ポーカーフェイス」と言われる理由
ボイストレーニングに関して情報を集めていたときに「リップロールのコツ」という動画(の1分9秒辺りから始まる話)で知ったことなのですが、日本語は頬や口角などの筋肉(表情筋)を全く使わなくても問題なく発音・発声できる言語なのだそうです。
日本人が外国人から「無表情だ」「ポーカーフェイスだ」などと言われることの原因のひとつには、この「日本語で使う表情筋が少ない」という理由があると思います。つまり、日本で生まれて日常会話を日本語で話している限り、表情筋は鍛えられにくく、無表情がちになってしまうのはごく自然なことだと言えます。
ちなみに該当の動画はこちらです。1分9秒辺りから再生されるようにしています。興味のある方はぜひ。
表情筋を鍛えよう!
笑顔になるのが苦手なのは、単に笑顔になるための表情筋が鍛えられていないからです。表情を作るのにも筋肉が必要なのです。
日常会話で表情筋が鍛えられにくいという現実がある以上、自然に笑顔になれるようになるためには、意識的に、笑顔になるための「表情筋の筋力トレーニング」をする必要があります。感情表現が苦手だとか、感情が表情に現れにくいと言われることがある自閉スペクトラム症の方なら尚更でしょう。
鏡に向かって、口角を指で引っ張って持ち上げてみたり、頬を指で上に押し上げてみたりすると、笑顔に近い表情になるかもしれません。良い感じの表情が見つかったら、指を使わずに再現してみてはいかがでしょうか。私の友人にも「何年か鏡の前で笑顔の練習を続けて、笑顔になれるようになった」という自閉スペクトラム症の人がいます。
鏡を見ても笑顔の作り方がわからないあなたへ
私は鏡を見ても駄目でした。どこにどう力を入れたらいいかわからない上、作り笑顔とも呼べないような不自然な表情になるのです。
が、過去に障害者枠で雇用されていた職場に採用されたときに「挨拶と笑顔が大切」と言われたのと、就労のためのメイクアップ講座で「チークを塗るときは笑顔になって頬が一番高くなったところに丸く塗る」と習ったのとで、毎日笑顔になる必要が生じました。
そこで私はどうしたかというと、支援者と話していて楽しい話で盛り上がり大笑いしたときに、顔のどの辺りにどのように力が入っている状態なのかを確かめました。鏡を見ていたわけではありませんが、お互いに笑い合っていたため、笑顔であったことは間違いありません。
そうして把握した筋肉と力の入れ方を鏡の前で試したら、自然な笑顔になったのです。「この力の入れ方で笑顔になる」とわかってからは、出勤前のメイクの時間にその筋肉を使って笑顔を作っていました(指導通りにチークを塗るため)。そのほかは、朝や帰りの挨拶のときなどに可能だったら意識をするという感じにしていて、無理はしないでいました。
そのうちに、就労で得た充実感や満足感などで気持ちが明るくなったことなどで、笑顔になりやすくなっていきました。毎朝チークを塗る際に笑顔になっていた点も、「筋力トレーニング」という観点からはかなり大きいポイントだったと思います。
化粧をしない人も、毎朝鏡の前で笑顔を作ってから仕事を始めるようにしてみてはいかがでしょうか。
自然な笑顔に近づけるコツ
「自然な笑顔」と「作り笑顔」の見分け方は、子供の頃に何かの本で読んだ知識によると「目が細くなっているかどうか」だそうです。
一般的に、作り笑顔は口角だけを上げるそうです。それに対して本当の笑顔は顔全体の筋肉を使うため、目も細まるのです。
私の場合は、笑顔を作る筋肉の使い方を学んだ経緯が「本当の笑顔」からのため、作り笑顔でも本当の笑顔のときと同じように筋肉を使います。そのため、あまり不自然になりません。
「口の端だけ上げれば笑顔になれる」と思っている方は、この際に目元も細くなるよう意識してみてはどうでしょうか。口角だけを上げるときよりも頬全体の筋肉を使います。鏡の前でやってみて、いい感じの笑顔になれるほうを続けましょう!
笑顔には、なれなくてもいい
この記事では笑顔になる方法を書きましたが、笑顔がどうしても無理ならクールキャラを貫くのも手です。笑顔が乏しくても魅力的な人はたくさんいます。そもそも日本人は笑顔になりづらいのです。世間の価値観に振り回されないようにしたいですね。