発達障害の診断を受けるということ(当事者編)

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自閉スペクトラム症
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この記事は旧ブログ(削除済)からのリライト記事です。

発達障害の診断を受けるということ(周囲の人編)」では「周辺人物に(発達障害の)診断を受けることを勧める人」について書いきましたが、その結論は「診断を受けるかどうかは、本人の選択」でした。その「本人」はどう考えたらいいのかという話が抜けているので、改めて書いてみます。

今回は発達障害に限らず、「精神科系の病気や障害の疑いを抱いた・周囲の人に疑いを抱かれて勧められたなどで病院の受診を検討している人」を「当事者」と扱って書きます。

私のケース

まず、私のケースから説明しましょう。

私は最初はうつ状態による自殺未遂の繰り返しがきっかけで精神科にかかり始めました。自分でも自分のことを病的な状態だと思ったので、精神科を受診することにためらいはありませんでした。

その後、統合失調症として診断を受けて治療を進められましたが、一向によくならないどころか不調がひどくなっていったため、転院しました。

その先で「自分ではまだ診断名をつけていない」と医師に言われたことでパニックを起こしてしまいましたが、その結果、アスペルガー症候群の疑いが浮上しました。そして主治医の勧めで専門医に診断をしてもらうことになりました。

言ってみれば、私も自分で疑いを感じて診断を受けに行ったのではなく、主治医ではありますが「他人の勧め」から発達障害の診断を受けに行ったケースです。発達障害専門医で確定診断を聞くまで、「自分は違うだろう」と思っていました。が、結果は「典型的なアスペルガー症候群」とのことでした。

このように、私も他人の勧めで受診をして診断に至っていますが、後悔はありません。何故なら、私は「自分の病気の診断名」というものに強いこだわりがあり、診断名が存在しないと言われてパニックを起こすほどに「診断名」を重要視しているからです。診断がつくならどんな検査も受けると言って、その結果、発達障害専門医の受診でした。ですので、他人から推されたとはいえ、一応は自分の選択で受診をしています。

どういうタイミングで精神科を受診したらいい?

精神科系の病気に一切偏見がない人は少なく、「他の人が精神科にかかっているのは気にならないけど、自分がかかるようになるのは嫌だ」という考えの人は結構いるように思っています。

発達障害の診断を受けるに当たっては、その時点で既にハードルがありますね。それに加え、発達障害の場合は「生まれつきであり、(現代医学では)治らない障害」という診断になってしまうため、非常に重いものを背負わされる感覚になる方もいらっしゃると思います。

私は精神的不調を抱えた数人に精神科受診を勧めたことが何度かあるのですが、その際にこういう基準で判断していました。

  1. 生活上の困難があるか
  2. 仕事をする上でトラブルなどがあるか
  3. 現在の精神的不調により、余暇活動、趣味の活動などにかける時間やモチベーションがなくなっていないか
  4. 生きづらさなどを感じている場合、理由を知りたいか

詳しく見ていきましょう。

生活上の困難があるか

具体的には以下のような困難があるかどうかですね。

  • 不眠傾向にあり疲れが取れない
  • 人間関係のトラブルが絶えないが原因がわからない
  • 身体の衛生保持(入浴や洗髪、洗顔、歯磨きなど)に困難さを感じ、できない日がある
  • 特定の場所へ行こうとすると腹痛や下痢などの症状が出る
  • 手を洗いすぎてしまうなど、強迫観念が強く生活に支障がある

強迫観念については、より詳しくはこういう感じです。

  • 自分は不潔なのではないかと感じ、室内のものに触れない
  • 外出時に、戸締りや火の元の確認を済ませたかの確認を何度もしているうちに、遅刻してしまう

このような困難さの「原因を知り、可能な範囲で改善していきたい」なら、精神科を受診はしたほうが楽になれる可能性があると思います。

仕事をする上でトラブルなどがあるか

これは具体例では以下のような感じです。

  • 仕事の指示を理解しにくい
  • 作業能率が上がらず叱られる機会が多かったり、残業が増えがち
  • 指示通りにやっているはずが、そうではないと怒られてばかり

このような現状をどうにかしたい、変えたい、だが原因がわからない……というときに、本人に精神科領域のトラブルがある場合があります。

そのほかにも、

  • 疲労感が取れない
  • 職場へ行きにくい
  • 職場に行くと体調不良を起こす

などの場合も精神的なトラブルを抱えている可能性があります。

趣味の活動などにかける時間やモチベーションがなくなっていないか

これは私が個人的に精神疲労度の指標としていることです。「余暇活動」「趣味の活動」に意欲を持てない状態というのは「かなり疲れている状態」です。いろんなサイトにある「うつ病チェックリスト」でもそのような項目がある場合もあります。

一時的に遊ぶ気にならないだけというならば軽度ですが、「何ヶ月もそういう状態が続き、仕事や学業以外には眠るくらいしかしていない」というような状態だとかなり疲労がひどいと思われます。

そのままだとうつ病などになってしまうケースも少なくないため、早めに受診して軽いうちに治してしまうという手もあります。

生きづらさなどを感じている場合、理由を知りたいか

「なんとなく生きづらい」「なんとなく社会に馴染めない」という感覚があって、「その理由が知りたい」という気持ちがあるかどうか。

「生きづらいけど、このままでいい」と思うならば、診断は不要だと思いますが、理由が知りたい場合、精神科受診によって何か理由がわかる場合もあるかもしれません。わからないかもしれませんが、無意味な行動ではないと思います。

私の意見は参考であって、絶対ではない

以上の私の意見は、「当事者が受診するかどうか悩んでいるときに、ある程度参考にできる情報かもしれない」と思いましたので、書いたものですが、私の意見が絶対ではないということは充分にご理解ください。その上で、仕事や学業などとの兼ね合いも考えながら慎重に判断して行動していただきたいと思います。

ネット上には様々な精神科領域の病気の自己診断テストがありますので、そちらを参考にして受診するかどうか判断するのも良いと思います。

病院など、信頼できるサイトのチェックリストを使うようにしましょう。

発達障害の診断を受けに行く前に知っておきたい情報

発達障害の診断を受けに行きたい場合は、以下のような情報を事前に知っておくといいかもしれませんね。

  • 発達障害だと診断されてしまった場合のショックの和らげ方
  • 発達障害に関するポジティブな情報
  • 発達障害と診断された場合に利用できる福祉制度(精神障害者保健福祉手帳や療育手帳、障害年金など)
  • 発達障害者同士が交流できる場所の情報(当事者の会など)

このようなことを知っておき、診断名を有効活用することを考えておくと、落ち込んで立ち直れなくなるようなことは減るかもしれませんね。

病院選びに気をつけよう

精神科では特にそうなのですが、病院選びは大切です。

投薬の多い病院は要注意です。薬漬けにされてしまい、減薬が難しくなってしまうという病院も少なくありません。これは診療報酬制度の問題で、病院は薬を出すと儲かるらしいのです。なので、無闇に大量投薬する医師が残念ながらいます。

また、医師との相性問題もあります。私は二次障害を診てもらっている主治医も、発達障害専門の先生も、客観的で理性的な意見をはっきりとした言葉で伝えてくださるので好きなのですが、中には「はっきりきっぱり言われるのが苦手」という方もいらっしゃいます。そういう方は、言葉遣いの穏やかなお医者さんを選ぶ必要もあるかと思います。

また同じ精神科病院でも専門はそれぞれ違っていて、「双極性障害なら断然○○先生!」とか「統合失調症なら◇◇病院!」みたいなものもあるそうなので、お住まいの地域での各病院の評判を何らかの方法で調べる必要もあると思います。

それとかなり重要なのは病院と自宅の距離です。精神的に不調なときに、病院が遠いのはつらいです。急な不調のときにも通いづらくなってしまいますね。ですので、最初は「一番近い(交通の便がよい)メンタルクリニック」という基準で選んでしまってもいいのではないでしょうか。私もそういう選び方でした。

もし適切でない病院にかかっても、他の病院にうつっていけばよいので、最初はとにかく「精神科の門扉を叩いてみる気持ちになれるかどうか」を考えましょう!

まとめ

  • 不調のせいで生活に悪影響が出ていたら、病院を受診しよう
  • 役立つ情報、ポジティブな情報を集めておこう
  • 病院選びに気をつけよう

以上で当事者が発達障害の診断を受けようと思うかどうか、思ったときにどう行動すればいいかという話は終わりです。何かしらの参考になりますと幸いです。

自閉スペクトラム症
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書いた人:
白崎矢宵(やよい)

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。性別不合(トランスジェンダー・FtM)でもあります。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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