私は以前、就労移行支援B型事業所に登録していましたが、安定して通えませんでした。
体調が不安定で通えず、通えないから明確な業務もない。
↓
明確な業務がないからモチベーションが維持できない。
↓
モチベーションが維持できないから体調管理への熱意も持てない。
↓
だから体調が不安定になる。
そういう悪循環に数年陥っていたのです。
そこでモチベーションの維持ができれば体調維持もできるのではないかという「モチベーション仮説」を立て、2018年夏ごろからバレットジャーナルを使ってモチベーションの維持を試みていました。
「モチベーション仮説」とは
私が個人的に考えた仮説なのですが、体調の維持には日々の生活のモチベーションが関わっているのではないかと思いました。日々を生きるということに意欲を持っている状態であれば、体調の維持・安定をする意欲も湧き、安定した生活リズムを維持できるようになるのではないかと思ったのです。
それまでの私の人生では、「生きること」にあまり明確な意義を見出せておらず人生にやり甲斐がない状態だったので、人生に対するモチベーションが減退していました。主な原因としては、
- 仕事がない。ときどき仕事があっても安定しない
- 収入がない。ときどき収入があっても安定しない
- 日々の生活の見通しが立たない
- 日常生活における義務がない
という理由が挙げられます。
「仕事や収入がない・安定しない」について
就労移行支援B型事業所には通所していましたが、そこは「何をしにきてもいい。顔を出すだけで、あとは自由に過ごしていい。パソコン関係の学習がしたかったら各自自習してもよい」という場所でした。
自由な場所が根本的に苦手で、行く意義を見出せないので、ExcelやWordの勉強をしてみました。Excelの勉強は楽しくて大変捗り、安定して通所することができ、MOSも合格できたのですが、Wordは苦手すぎるせいか勉強が難航。それなりに学んだのですがモチベーションの維持に至らず、また通いづらい状態に陥る有様でした。
B型事業所はあまりにも安定して通えないし、通ったところで収入にならない(交通費と昼食代を合わせたら赤字にすらなりうる)ので、余計に意欲が保てませんでした。
そこでクラウドソーシングで小規模にアルバイトを始めたところ、B型事業所よりはよっぽど稼げたのですが、以下のような問題が起きてうまく続けていけなくなりました。
- 単発案件が多く収入が不安定
- 案件探しに時間がかかりすぎる
- 仕事が忙しすぎたり、暇すぎたりし、仕事量の調整が困難
そんなわけで、仕事や収入が不安定で生活の見通しが立たなかったのです。
生活の見通しについて
私は自閉スペクトラム症のためか、曖昧な物事が非常に苦手です。生活の見通しは日々漠然としすぎて困難さを感じています。
まず、定職がないのでルーチン化された日々の過ごし方がありません。体調が安定しないのでB型事業所に週2通所だったのですが、今思うとそれが逆に悪かったのかもしれません。1日2時間でも毎日通所にチャレンジしたらよかったのかもしれないのですが、週2通えない人に「毎日おいで」とは通常言わないものです。
私は奨学金を借りて大学に行ったため、返済しなければならないのですが、長年定職につけず、安定した収入がありません。「自分にも返せる」という見通しが立たないと、私は一生苦しみ続けるに違いありません。私が人生で一番困っている見通しの立たなさは「定職がない」=「安定収入がない」=「奨学金を返せる見通しがない」というものです。そのほかにも細かな見通しの立たなさで日々困っているのですが、見通しが立たないと感じる状況が多すぎて枚挙に暇がないのでやめておきます。
毎日外出できない理由
毎日通所ができると思えなかった理由もあります。
私は感覚過敏や不安障害などの理由で外出をすると異常に疲労するため、連続して外出できるのは3日が限度です。
3日外出したら1~2日休む必要がありますが、5日外出したらその後7日休む必要があります。「1週間働いて1週間休み」という現実的でないスケジュールになってしまうのです。
外出日数は、仕事や通所以外の日数も全て含めてなので、「病院」「買い物」「通所」でそれぞれ1日ずつ使ったなら、次の日は休まなくてはなりません。
しかしこの「3日出かけたら1~2日休む」は私にとってはかなり有効なペースで、このペースを守ることにしてから2年半ほど、1年を通した体調がかなり安定してきています。それ以前は1年の間に数ヶ月家から出られなくなる時期がありました。(特に冬場)
日常生活の義務について
私が考える生活上の義務とは、「仕事」や「家族の手伝い」のような、自分の用事ではない誰かのための用事です。仕事は自分のための用事という見方もあると思いますが、他人との関わり合いで発生するものだという解釈で「誰かのため」扱いです。
義務があると生活にハリが出て、充実感があります。ひきこもった経験のある方などは想像できると思うのですが、自分のためのワガママな用事しかない生活って虚しくなりませんか?
「気ままに、ワガママに暮らす時間」は人生に必要なものなのは確かですが、それしかなければ生き甲斐も生きる意味も感じられなくなると私は思っています。自分のワガママを通せない時間があるからこそ、ワガママに過ごせる時間の価値が上がるのです。人生もメリハリが大事です。
なので家事手伝いを試みたことが何度かあるのですが、熟練の主婦(母親)相手だと手伝う余地がないんですね。手伝うからと決めてあっても、「いつまでもやらないから先にやっちゃった」などと言われたりするわけです。こっちが手伝いたくても、向こうにとって手伝ってもらうことがストレスだと、結局手伝わせてもらえないのです。
それに家族相手だと甘えが生じるので、他に優先したいことができて「今日はやりたくない」と言って承認されてしまったりします。そうなると、もう義務ではないですね。
モチベーション維持にバレットジャーナルを試してみた
日々の暮らしの見通し(自分がやりたいことの把握、やるべきタスクの把握)やモチベーションの維持のために、バレットジャーナルを2018年夏から試しています。それについてはnoteに何度か書いていますので、よろしかったらそちらもどうぞ。




そうしたところ、日常生活のモチベーションが維持しやすくなり、体調も安定しやすくなりました。それに伴ってB型事業所も前よりは通所ペースが保てるようになりました。
しかしながら、B型事業所に関してはやはり明確な業務のないことと収入にもならないことがネックで、前よりはマシになったとはいえ、どうしてもモチベーション維持が難しかったのです。
会社勤めにチャレンジ
体調が安定した状態が1年以上続いたことと、安定した収入と安定したモチベーションが欲しかったため、2018年末に就職活動を決意し、会社勤めに2019年2月からチャレンジしました。
会社勤めは非常に楽しく、やり甲斐があり、それまでの生活と比べると格段に収入も増えたため、モチベーションが維持できていました。体調管理にもかなり積極的に取り組むことができ、辞める間際までは安定して出勤することができていました。
しかしながら、自分では認識できない著しい疲労が回復しきれずにたまっていっていました。そのことに気づいたのは勤め始めて3ヶ月ころに医師に指摘されてからです。それまでは「キツいなあ」とは思っていましたが、そのキツさが異常という自覚は全くありませんでした。本人に自覚がないことを職場の人が気づくわけもなく、かなりしんどい状態であったにも関わらず「問題なく仕事ができている」「まだまだ余力がある」という風に思われていました。
医師に「無理して勤めようとはしないように」と言われたのですが、その後の1ヶ月で無理して勤めている状態になったので、思い切って退職。4ヶ月しか勤めることができませんでしたが、手遅れになる前に辞められて本当に良かったです。
モチベーションが目隠しをするせいで、疲労が自覚できない
数年ぶりに会社勤めをしてみてわかったのは、「モチベーションが目隠しをするせいで、疲労が自覚できない」という点です。発達障害者が疲労を自覚しづらいことは各所で言われていますが、私も当てはまっていたようです。私はすぐ「疲れた」と感じるので、自分は疲労が自覚できていると思っていたのですが、疲れたと感じた時点では既に手遅れの可能性があるようです。
自分なりの疲労回復は試みていました。ですが、週2回・1日4時間という少日数の労働でも、余暇に割く意欲も体力もなくなり「会社と自宅の往復」という状態でした。それだけ重いストレスのかかる職場だったようなのですが、辞める間際まで「楽しい、やり甲斐がある」と思っていたので、医師の指摘がなければ本当に気づかないままうつ病が再発していたと思います。
これは知人の言っていたことですが、発達障害者の体調が不安定なのは、疲労に気づきにくいせいなのかもしれません。疲労に気づきにくいため、いつの間にか疲労しすぎており、回復に時間がかかる。そのために体調に波ができてしまうのかもしれません。精神が不調な方々が体調不安定なのも、似たような理由で、無理をしすぎてしまうのかもしれませんね。(「かもしれない」ばかりで申し訳ありません)
会社勤めと家族関係の悪化
ところで、会社勤め中の様子を見ていた家族の意見ですが。家族からすると、会社勤め中の4ヶ月間は私のイライラぶりが異常だったそうです。
私も会社勤めを始めてからやたらと母に怒りが湧くと思っていました。やけに怒りが湧くので当たってしまい、それによって家族関係が悪化して、余計に怒りが湧くようになり、とても自宅で暮らせないような関係悪化をしていました。
しかし退職後は溢れんばかりの怒りは収まり、家族とはまたそれなりに穏便に生活できるようになりました。どう見ても仕事のストレスで家族関係が悪化していたのです。
しかし、働いている最中はそれを仕事のせいだと感じていませんでした。仕事がとてもやり甲斐があって充実しており、楽しかったからです。
モチベーション仮説の問題点と解決策
ある程度のモチベーションを保つことで、体調管理をそれなりにしながら、安定して出勤することができることはわかりました。
ですが、「モチベーションがあるせいで疲労に気づかない」という問題が起きる以上、モチベーションだけに頼った体調管理はできません。
対策として考えたのは、ありきたりですが「休憩を義務化する」ということです。発達障害者にはよく勧められる対策方法なのですが、うまく実現できないのは、やはり休憩をするスキルが足りないんでしょうね。
全ページおすすめの借金玉さんの本でも「自分の体調がわからない」「休憩はタスクでありスキル」と書かれていましたね!(私による感想文はこちら)
私も借金玉さんの提唱する「五感遮断法」を真似した方法や、ストレッチ、仮眠などをできるだけ生活時間の中に取り入れるように努力しています。
仮眠については「寝たまんまヨガ」というアプリが非常に良かったです。音声の指示に従いながら体を緊張させて緩めて深呼吸することで、格段にリラックスできます。スマホアプリ以外にCDもあるので、アプリがイヤな方はそっちでもいいかも。私はアプリで充分なのですが。


追記:2020年4月頃から昼休みに筋トレを始めてからは仮眠がほとんど不要になりました。筋トレ中に脳の疲労がかなり回復するようです。頭が疲れたら運動するのが自分には合っているようです。
まとめ:モチベーションは重要だが、休憩スキルも必要
日々の暮らしにモチベーションを持つことで、ある程度は体調維持ができるということが実体験を通してわかりました。それと同時に、モチベーションのせいで疲労に気づかなくなるという問題も起きました。
休憩を義務化しようとしても、モチベーションが豊富すぎるとやりたいことが山積みになって、休憩を軽視しがちです。借金玉さんが言うように、休憩を最優先スキルとし、強い意志を持って休憩することが必要なのだと思います。

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