「障害は個性」は障害を軽んじる言葉ではない!障害と個性は不可分

自閉スペクトラム症関連
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「障害を個性と考えよう」という言葉が出るたびに、「これは個性などという生易しいものじゃない!」と怒りや嘆きの声が上がりますね。私も怒る者の一人です。

考えてもみてください。個性で済む問題なら医者は診断書を書きませんし、自治体も障害者手帳を発行しません

  • 一般就労ができない
  • 人間関係が維持できない
  • 感覚過敏で外出もままならない

こんな「個性」があっていいものでしょうか。これは明らかに生きる上での障害です。ですが……。

それでも障害は個性の一種

障害は個性ではないのでしょうか。私の個人的な考えでは、障害は個性の一種です。

矛盾しているように感じますか? 矛盾はしていませんよ。「障害=個性」なのではなく、「個性の中に障害も含まれる」という意味です。

「個性」と軽々しく言うのは憚られますが、それでも、発達障害の特徴があるから私たちは私たちなのです。

発達障害の特徴がなくなった私たちは、私たちでしょうか?

  • 集中力を容易に保てる
  • 適切な休憩をとれる
  • 人間関係のトラブルも少ない
  • 学業や仕事の段取りも良い感じ
  • 感覚過敏もなく外出にも苦労しない

私はこんな自分を想像できません。障害ゆえの困難を抱えながら日々工夫して生きているのが私なので、障害がなくなったら私らしい生活がなくなってしまいます。

ですので発達障害の特性は、私が私であるために必要なものです。であれば、「障害は個性」もまるっきりウソとは言えません。

「障害は個性」と言う本来の目的は自分を肯定すること

根本的な問題として、言葉の誤解があります。「障害は個性」という言葉は障害を軽んじるための言葉ではありません

「障害」を「悪いもの」「ダメな部分」「直らない欠点」などと考えて自己否定を強める人たちに、「障害もあなたがあなたらしくあるための大切な特徴。障害があってもあなたは自分を好きでいていいし、大切に思っていい」と伝えるための言葉です。

それなのに字面だけが一人歩きし、「障害も個性って考えればいいんだ」と浅い考えでその言葉を使う人が増えています。だからこそ怒りや嘆きが湧くのです。(善意で言う人もいるんですけどね)

「うつ病は風邪みたいなもの」も同様

「うつ病は風邪みたいなもの」という表現をご存知ですか?

これも本来は「うつ病は決して異常な病気ではないし、特殊なものでもない。早く治療を開始すればよくなる。風邪にかかったときに病院に行くような気軽な気持ちでメンタルクリニックに来てほしい」という意味だったのです。メンタルクリニックの敷居を下げるための表現だったのです。そこにはうつ病の病状に関する意味は何一つありません

ところが言葉だけが一人歩きして、病状を軽んじる意味合いで使う人が増えてしまいました。

うつ病の病状は、死の危険性もある重大なものですから、決して「風邪」などと言えるようなものではありません。脳内物質の異常なので、気持ちの問題で解決もしません。人生への悪影響が甚大で、病院での治療が必須な病気です。

こういう誤解が生まれるのはネット社会の弊害なのでしょうね。「検索結果で出た記事のタイトルだけを鵜呑みにして、本文は読まない」なんてことはありませんか? ひどいときには検索のサジェストを信じてしまうことも。サジェストは単にそのキーワードで検索している人が多いだけで、真偽は全くの不明なのですが……。

まとめ

「障害は個性」という表現には障害を軽く考えている印象がつきまといます。個性で済むなら障害者手帳が発行されるはずはないのです。

障害当事者が「自分の障害を個性だと思っている」と発言するのは自由ですが、外野が「障害も個性と考えて頑張ろう!」などと言うと高確率で反発を招きます。外野が言うべき言葉ではないと考えます。

障害は自分らしくあるための大切な特徴ですが、生きる上での支障であるのも現実。ダメな部分とばかり考えないで、うまい付き合い方を見つけ、「個性の一種」と認められるようになりたいものです。

他の記事もおすすめです:障害を障害として受け入れがたく感じている方は、小さなことから自分を認めて(スモールステップ)自己肯定感を身につけていきましょう!

書いた人:
白崎やよい

発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と診断されています。30代半ばです。肉体の性別に違和感がありFtMだと思っています。道具やサービスを使って自分の生活を改善しながら、気になった情報を雑多に発信しています。著書「アスペルガーだからこそ私は私」発売中です。

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以前書いていたブログ「他者と私とアスペルガー症候群」の記事を抜粋し読みやすく書き改めたもので、6年近い自己分析の集大成です。
母から見た生育歴、母と私のすれ違いを解消した記録もあります。自閉スペクトラム症の子と定型発達の親のすれ違いが両方の視点から読める本です。

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